婚約破棄は、「婚約」という契約の不履行にあたり、慰謝料が発生する可能性があります。
「慰謝料」というと大ごとな感じがして、なんだかコワイですよね。かといって、貰えるものを貰わないのもなんだかモヤモヤします。
婚約破棄の経験者は周りにいないし、慰謝料の相談なんて、気軽に他人にできません。

こんにちは、ぬま子です。
婚約破棄され慰謝料をもらった経験があります。
こちらの記事では、私の実体験も含め婚約破棄における慰謝料について解説します。
慰謝料が請求できるケースの判断基準

婚約破棄されたなら誰でも慰謝料が請求できるわけではありません。
婚約という「将来結婚するという契約」は、口約束だけでも成立します。ですが相手に「そもそも結婚の約束なんてしていない」といわれてしまったら、慰謝料の請求の際、婚約の事実を証明しなくてはいけません。
婚約を証明できる事実とは、
- 結納
- 結婚式場の予約
- 両親に婚約者として紹介
- 婚約指輪や記念品の購入
- 寿退職
などがあたります。
結婚式場の予約などは婚約の確たる証拠です。一方、婚約指輪などは「ただのプレゼントだった」として反論される可能性もあります。(婚約指輪として買った自覚は加害者にもあるはずで、それでも嘘をついて反論する人間かどうかがポイント)
逆に相手がすんなり慰謝料の請求に応じてくれれば、あえて「婚約の事実を証明する」必要はありません。
正当な理由がなく一方的に婚約を解消された場合

一方的な理由とは
- 相手に魅力を感じなくなった
- 両親の反対
- 性格の不一致
- 結婚が漠然と不安になった
など、決め手にかけるぼんやりとした理由です。
婚約解消した方は「結婚を取りやめにした加害者意識」がある場合が多いです。早くさっぱりして終わりにしたいと思っているなら慰謝料の請求にもスムーズに応じてくれる可能性が高くなります。
正当な理由があって、婚約解消となった場合
正当な理由とは、相手に何らかの問題が発覚した場合で、
- 浮気
- 実は既婚者だった
- 多額の借金が判明した
など、一般的に「それは婚約解消してももおかしくないよね」と言う理由です。この場合、相手に加害者意識がないと「婚約解消された被害者」と思っている可能性もあります。この場合、慰謝料の請求に応じてくれるかどうかは、微妙です。

借金があった場合は、慰謝料が確定しても、お金がないのでもらえない。
婚約破棄で請求できるお金は2種類【損失額の実費と慰謝料】

婚約破棄により相手に請求できるお金には、式場のキャンセル代など実際の損失の実費と精神的なダメージに対する慰謝料の2種類があります。
「慰謝料」より「損失の実費」の方が金額が明確であるため、請求しやすく相手も応じやすいです。
良識がある人なら、「婚約破棄の損失の実費を支払う事」を自ら申し出る事もあります。
【損失の実費】婚約解消に伴う費用

婚約解消に伴う費用には
- 結婚式場のキャンセル代
- 新婚旅行の予約金
- 両家との会食費用
- 引っ越し代
- 新居のために購入した家具・家電
- 結納金
- 婚約・結婚指輪
などがあり、結婚準備の段階が進むほど高額になります。
婚約解消後の結納金の清算

婚約解消の理由が両者にあった場合、通常結納金は返却されます。
一方、「結納金を贈った方に問題があって婚約解消となった場合」、慣習的には結納金は返却されません。
「結納金をそのまま慰謝料とする」方法もあります。結納金が高額なら、そこで手を打つのも1つの考え方かもしれません。
婚約解消後、婚約・結婚指輪は返すべきか?
婚約・結婚指輪も結納金の考え方と同様で、
指輪の購入者に婚約解消の責任がある場合は返却されません。
また折半で購入した場合で、相手に婚約解消の原因があるような場合、指輪を相手に渡して購入代金を現金で返してもらうという方法もあります。
手元に結婚指輪があっても微妙ですし、売ったとしても通常は購入時より安くなってしまうので、購入金額をそのまま返してもらえたらベストですね。

また指輪以外にも、新居のために折半で購入した家具や家電も、「モノは相手に渡し、支払ったお金を返してもらう」という同じ考え方で清算できます。


お金の清算は、このように一貫性があると分かりやすいですね。
【慰謝料】精神的苦痛に対する賠償
婚約破棄により精神的なダメージを負った場合、慰謝料を請求できます。
結婚の準備が進む程、精神的苦痛は大きいとされます。結婚準備には次のようなものが挙げられます。
- 友人・知人への照会
- 両家顔合わせ
- 職場への連絡(報告から寿退社の手続きまで色々)
- 結婚式場の予約
- 新居への引越など


また精神的苦痛により、うつ病になったり体調崩した場合も金額に考慮されます。医者の診断書やカウンセリングの領収書は、もらったら保管しておきましょう。



慰謝料を請求する3つの方法
慰謝料の請求には、以下の3つの段階があります。
- 当事者間で話し合い
- 家庭裁判所で調停
- 本格的な裁判


ラインで「慰謝料を請求する意志と希望金額伝えるだけ」でサクッとお金がもらえる事もあれば、裁判までこじれる場合も。
1:当事者間で話し合い
まずは、当事者間で話し合います。相手に連絡しお金を清算したい旨を伝えます。
婚約解消による損害額の費用と慰謝料を自分で計算し、明細と共に希望金額を相手に伝えます。(損害額の費用だけで慰謝料を貰わないケースも多い。)


金額よりも早く終わらせる事の方が大切。
相手と直接やり取りをしたくない人は、この段階から弁護士に依頼する事もできます。
弁護士の他には、請求書や示談書を作成するのに行政書士を使う事もできます。婚約破棄の相談を含めてサポートしてくれるようなサービスもあるようです。(行政書士は書類の作成のみで相手と交渉はできない、一般的に弁護士費用より安い)
2:家庭裁判所に調停の申し立てをする
当事者同士の話し合いで解決できなかった場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをすることができます。
調停は、相手の住所を管轄する家庭裁判所に申し込みます。
調停は平日、1回2時間程度。調停人が双方の話をきき、妥協点を提示していきます。
3:本格的な裁判をする


「当事者同士の話し合い」・「家庭裁判所の調停」でも解決しなかった場合、裁判に進むことになります、(調停せず最初から裁判も可能)。裁判は長い期間を要することもあり覚悟が必要です。弁護士を雇うための費用も必要になってきます。


高額請求を狙えるような、よっぽど特殊(悪質)なケースでないとコスパが悪い
婚約破棄のお金の清算、どこまでが普通??【個人的な意見】
「結婚準備にかかったお金を返してもらう事」までは、当人や周囲の人も「普通」だと考えます。
一方「慰謝料」となると「そこまでしなくても、、」と思う人も多く、なんだかいけない事をしているような気さえします。
ですが婚約破棄を経験する人は、婚約した人全体の1%ともいわれ、そもそも「婚約破棄自体が珍しい事」なので、「実際には普通はこうする」が存在しません。
私の場合も家族や知人、周囲の人間100人のうち、婚約破棄を経験したのは自分だけです。(知らないだけかもしれませんが)
周りに参考例がないので、自分がどうしたいかで行動するしかありません。
慰謝料とは、平たく言えば被害から立ち直るためのお金です。私は慰謝料を受け取る事で、彼への未練を断ち切るきっかけを作る事ができました。


やっと「何かが終わった」感じ
慰謝料の一部を使って結婚相談所へ入会し、2年後には新しい人と結婚する事ができました。
慰謝料の請求は、もめる可能性もあるので全員に勧める事はできませんが、個人的には「試しに貰えるどうか」相手にちょっときいてみてもいいのでは??と思っています。
慰謝料の請求で悩んでいたら、自治体の弁護士無料相談がおススメ
ここまでの記事を読んで頂くと、自分が慰謝料を請求できるかケースか、なんとなく分かると思います。
慰謝料を請求できるケースと分かっても「やっぱり不安」ですよね?
私もそうでした。多くの市では、「弁護士の無料相談」を行っていて、広報に情報が載っています。
私が住んでいる地域では「弁護士無料相談」が広報に毎月掲載されていました。
市の広報は、図書館や市役所に置いてありますが「弁護士の無料相談会があるか?」直接、市役所に電話してきてみる事も可能です。
私は広報を見て予約後、弁護士に30分位相談をきいてもらいました。無料ですし営業もありません。グイグイなアドバイスをされる事もなく淡々と説明して頂けました。
自分の考えが正当なものか第三者(しかも弁護士)にきいてもらう事が出来るので、自分の状況を落ち着いて考える意味でもおススメです。
弁護士の相談をしておくと、慰謝料の話し合いの際「弁護士がこういってた」と自分の主張の根拠を提示する事ができるので、相手説得する材料を1つ作る事ができます。
【注意】慰謝料の請求にも時効がある
慰謝料の請求には時効があって、通常は婚約破棄されてから3年です。
1年経って落ち着いた頃に請求する事も可能ですが、あまり時間が経つと相手に「何を今さら、、」と拒否される可能性が高くなります。


早く決着をつけたいと相手が思っている内に、請求した方がよさそう。。
自分の体験談
私は婚約破棄をされ慰謝料を受けとった経験があります。興味がある方は1つの事例として参考にしてください。
1・慰謝料請求を決意したきっかけ


婚約解消の理由は、彼の「結婚に対する不安」でした。正当な理由がない且つ一方的な婚約解消で、結婚式場の予約も済んでいました。慰謝料を請求できる事例ですね。
「彼のわがままに付き合わされ、こんなに傷つき、このままでは終わりに出来ない」と思った事が、慰謝料の事を考え始めたきっかけです。相手に「自分がした事の重大さを知り、反省をしてほしい」と思ったのです。
婚約破棄されても、私はまだ結婚に未練があり彼に嫌われたくないと思っていました。
婚約破棄を言い渡されても、「考え直してくれるかもしれない」と彼に対して優しく接していました。


今思い返すとみじめな行為
2・自治体の弁護士無料相談を利用して第三者の意見を聞く
ネット上で検索して自分が慰謝料を請求できる事例である事は理解していました。
ですが知人に慰謝料を考えている旨を伝えると「やめた方がいい」といわれ「私はおかしな事をしようとしているのか?」と迷いが生じました。
弁護士に相談し、自分の理解が間違っていない事を客観的に淡々と説明してもらうと、頭が冷静になり、前に進む意味でも慰謝料を請求しようと決意する事が出来ました。
当事者でも専門家でもない人の意見で自分が迷うのが嫌だったので、決意してからは周囲に相談する事をやめました。
3・ラインで慰謝料請求をする


「お金をできるだけたくさんもらおう」とは考えていなかったので、婚約破棄の慰謝料相場50万から200万の最低ラインの50万とその他に実際の損失額
- 式場の手付金10万
- 新居の引っ越し代10万
合計70万を請求する意志を伝えました。
相手は慰謝料を請求される事を想定していなかったようで、
「そんな子だったんだね、、」というような返信がありました。
彼に幻滅される事で結婚をあきらめる事ができたし、嫌われる覚悟をしていたので、そんな言葉で逆に頭がスーと落ち着いてきました。
4・相手の了承を得て、示談書にサイン
相手が普通の経済状況だった事もあり、提示金額の70万でスムーズに了承を得る事ができました。
示談書に同意する事が条件とされ、相手が送ってきた示談書にサインしました。


相手もきちんと終わりにしたかった様子
5・口座に振り込まれ完了
私の銀行口座にお金が振り込まれました。彼からは最後の最期にまた何か捨てゼリフがあったと思いますが、よく覚えていません。これを最後に彼とは一切連絡をとっていません。
彼の捨てゼリフをきいて、最後に勝ったような気持ちになりました。最後は彼が悔しがったと。。
慰謝料をもらう事でお金以上のものを得る事ができたと思います。もちろん後悔もしていません。


婚約破棄慰謝料請求まとめ
ここまで婚約破棄における慰謝料請求について長々と述べましたが、慰謝料の請求を煽るつもりは全くありません。
私が上手くいったからといって、他の人も上手くいくとは限りません。人によって前提条件も全く違いますし、慰謝料を請求したことで、より傷つく事もあるからです。
また特殊な事情でない限り、裁判をすることもお勧めしません。30代の女性にとってお金よりも時間の方が貴重だからです。
婚約破棄から立ち直る1番の方法は、次の人と出会い結婚する事です。過去の事よりそちらに時間もエネルギーも費やして欲しいと思います。